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2011年
2011年分 >> 記事詳細

2011/01/09

第7回 教育用コンピュータ等に関するアンケート調査 報告書

Tweet ThisSend to Facebook | by:落伍弟子
(最後に補足を追加)

●CECの提言
 http://www.cec.or.jp/seisaku/teigen.html
井上委員の資料に「第7回 教育用コンピュータ等に関するアンケート調査」のグラフが掲載されていた。そのなかで気になるのがあったので、「やっぱり購入しないといけないかな」とおもっていたら、なんと先週末にPDF公開が始まっていた。

●ダウンロード可能な資料
 http://www.japet.or.jp/Top/Publications/Download/
のページに
 第7回 教育用コンピュータ等に関するアンケート調査 報告書
があり、「詳細を表示」をクリックするとダウンロードのURLが表示される。

■メールアドレスの付与
 気になったのは、この報告書の20ページ「3-2-2 教育委員会としてメールアドレスを教員に付与していますか。」の集計である。
 グラフの下の注釈はこのように記載されている。
※電子メールは、企業や官公庁では必須のものとなっているが、全体でも「各個人に付与している」は、35.8%に止まっている。教員一人1台PC、全員へのメールアドレス付与の早期実現が望まれる。

各個人に付与しているのは
 都道府県     17/24(70.8%)
 政令市・中核市 16/39(41.0%)
 市         24/85(28.2%)
 町村        6/28(21.4%)

そして、「学校に対してメールアドレスを一つまたは複数付与し教員が共有している」
 都道府県     3/24(12.5%)
 政令市・中核市 17/39(43.6%)
 市         41/85(48.2%)
 町村       12/28(42.9%)

これはネットワークの管理規定に違反していないだろうか?

そもそも、「IDとパスワードは他人に教えてはいけない」というのがセキュリティの基本中の基本であり、情報モラルの根幹のひとつでもあるはずだ。
 にもかかわらず、教員が日常「パスワードを共有」していては、セキュリティ感覚がマヒするのも当然だと思う。

 メールアドレスの付与にどれだけコストがかかるのだろう。そのコストを惜しんだために、セキュリティ感覚をマヒさせることとの比較したことがあるだろうか?

 あー、そんな面倒なことをしたら、きっとメールアドレスとパスワードの一覧表が職員室の共用パソコンの横に張り出されることになるのかもしれないけど、それはそれで、そういうことを黙認する学校の文化が燻し出されて、指導対象を絞り易くなるかもしれない。

■ログイン方法
 この報告書をみてもう一つ気になったのは「学校に導入しているコンピュータにログインする場合の個人認証」の方法だ。
 23ページの「3-5 学校に導入しているコンピュータにログインする場合の個人認証に関してうかがいます(複数回答可)」。これもグラフの下の注を引用する。
「市」以上の自治体が、「ユーザID、パスワードによる認証をおこなっている」が70%を超え、セキュリティ対策の認識は高い。一方「個人認証を行なっていない」が町・村で46.4%、政令市・中核市・区でも、23.1%が回答しており、セキュリティ対策面での課題が残り、早急な改善が望まれる。

個人認証を行っていないのは
 都道府県     4/24(16.7%)
 政令市・中核市 9/44(20.5%)
 市         18/102(17.6%)
 町村       13/29(44.8%)
という数字。個人のパソコンでも、家族が勝手に使わないようにパスワード認証くらいするだろうに。

■情報セキュリティや情報モラル研修について
 これも変だと思うかもしれないけれど、予想どおり。24~25ページに「3-8 教育委員会で実施している情報セキュリティや情報モラルの研修についてうかがいます。(複数回答可)」で

教育委員会では特に対策はしていない
 都道府県     0/82(0.0%)
 政令市・中核市 0/155(0.0%)
 市         4/234(1.7%)
 町村       8/37(21.6%)

という結果が書かれている。これは、町村では研修していないが、それは都道府県の研修があるからではないかと思う。これもグラフの注にあるとおりだとおもう。
町・村では、「教育委員会では特に対策はしていない」が28.6%もあり、学校任せの実態が浮き彫りとなった。市以上の自治体より遅れが目立ち、自治体規模による差が生じないような教育行政施策が望まれる。

どうもICTモラル教育と指導要領で書いてはあるが、指導者自身が実践対象になっていない環境で仕事をしているようでは、「お題目」で終わるのも仕方がないと思う。

【補足 2011.01.10】
 「メールアドレスの共有とアカウントの共有は別概念なのでパスワード云々と絡めると訳がわからない。」というつぶやきをtwitterでいただきました。

 たしかにそうなのですが、現実問題として「共用しているメールアドレス」が「ログインアカウントやパスワードをないがしろにする」文化の原因ではないかと思わざるを得ないのです。
 webメーラがずいぶん普及してきているので、コンピュータの「利用者アカウント」と「メールのアカウント」とは同列に思われているのだとしか考えられない状態なのです。

 それ以上に「ログイン」作業が必要とされない共用パソコンがあるのは問題です。他の方からは「
ID・パスワード?な世界」というつぶやきをいただいています。


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