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2005/09/02

特別分科会3 情報化社会とPTA

Tweet ThisSend to Facebook | by:落伍弟子
第55回全国高等学校PTA連合会 長野大会に参加しました。
 高校生のアトラクションもなかなかすばらしかったです。

さて、2005.08.27(土)に「特別分科会3 情報化社会とPTA」がありました。以下は私のメモです。

 あくまでも、私のメモであり、講演者やパネラーの意図と違う受け止め方をしている可能性があることをご承知置きの上、お読みください。

■1.運営委員紹介

■2.基調講演
「子どもたちの情報メディア環境 変化と問題点、対応策」
 群馬大学 社会情報学部 大学院研究科教授 下田 博次

ドイツから研究者がきたが、「日本で子どもの教育的問題が解決される方法がみつかるまでは子どもに対してiモードを許可できない」といっていた。
日本は、世界の実験場という見方をされている。

・現在の携帯電話:通話もできるインターネット端末機
  史上最強のパーソナルメディア端末機である
・インターネットへの子どもへの影響をアメリカでは言い続けていた
・我慢できなくなって、5年前からキャンパスをでて啓発活動をしている
・5年の記録を話したい
 最初に連絡があったのは警察:「ケータイとはなんですか?」
  「これをもっていたら、親にも学校にも知られずに連絡できる」と取調べで言っている
・いつでも、どこでも、だれでも知らない人と連絡できるツールを「子どもが持った」
・2002~3年に始まった:詐欺、脅迫のツールとして利用
  →消費者問題へと広がった
・学校でも問題が起こっているはずだと予感していたが表に出なかった
  新しいタイプのいじめが発生している
   ・女子高
   ・ある市の高校から相談依頼
・子どもの「自由な」インターネット利用を日本の保護者はなぜ自由にさせているのか
・3年前にはPTAから呼ばれたことはほとんど無かったが、最近は忙しすぎる
  群馬県では知事の要請でインストラクターを養成している
・2年前から「火がついている」と認識している。
 -高校の授業中にケータイを使っていた生徒は57%
 -分からないように利用している生徒が増えている
   授業に院生を呼んでおき、学生に自由に使わせてみて、使い方を観察した
  高校のときの使い方:メールの返答
 -相談するのは多くは生徒指導の先生が対象だが、今春大阪でIT担当教員の勉強会にでた
   悩みで増えたのは「いじめ相談」「持ち込まないというルール違反」
     「盗撮防止」→1件は女子高生が実行。同性の写真を販売している
・子どもの生活の乱れ(見える事柄)
  寝不足、金遣い、夜間外出
  受験校では2年生で勉強に戻ることが多い

問題点
 1)親=与え、使わせる側の問題
 2)子=使う側の問題
   インターネットをテレビと同じように、
     効率よく情報を取得するメディアだと思っている人が多い
      → 間違い
   欠点を十分に理解してほしい

・コンタクトとダイレクトコミュニケーション
 見せたくない情報を子どもが直接覗ける(コンタクト)
 それに答える(ダイレクトコミュニケーション)

・2チャンネルもグレーゾーン
  「祭り」現象 悪い例:バスジャック
         よい例:江ノ島の海岸清掃

・米国ではブラック情報についてのフィルタリングについて議会で何度も議論している
   →日本の議会では聞かない

・子どもたちの遊び、癒しのWebサイトにおけるTrap,Pit
   インターネットは子どものストレスに対して癒しの場でもある
    →それを遊び、からかい(Trap(わな)、Pit(落とし穴))にはまることがある

・インターネット以前は「人間フィルタリング」があったが、いまはダイレクトコンタクトできる

・「DeepLove」というオンライン図書が流通している
  渋谷の子どもたちの情報交換を編集したインターネット本
  子どもは「被害者」ですまなくなり、「生産者」になりだした

・子どもは「メディア」だと思っているが、大人は気づいていない
・出会い系は「打出の小槌」
  ふぐがたべたい → 親は食べさせてくれない →出会い系で言ってみた
   → 食べさせてくれる人がでてきた
  「リスキーではあるが、何でもできるツール」と子どもは気づいて、実行している

・インターネット時代の子育てに成功するための世界の実験場になっている
 「ねちずん村」というサイトを立ち上げている


■3.パネルディスカッション
●コーディネータ
 NPO法人マザーサポート・ITながの理事長 中島 直美
 群馬大学 社会情報学部 大学院研究科教授下田 博次
●パネリスト
 ・長野県警察本部少年課長 東川保幸
 ・(株)NTTドコモ モバイル社会研究所副所長 山川隆
 ・長野県教育委員会 教学指導課教育主幹 内山浩一
 ・(社)武石村開発公社 練馬区立武石少年自然の家 支配人
  丸子実業高校PTA会長 荻原和雄

●現状の問題点
・警察
 ・かつては「ハイテク犯罪」(現在は「サイバー犯罪」)
  発生率は2倍
  ネットワーク利用犯罪は1900件(全体の90%)
  出会い系は5年前の17倍。昨年はケータイ利用が97%になった
・教育委員会
  携帯を身に着けていないと不安を感じる生徒が47%
  板書をケータイカメラで撮影している生徒もいる
  人とコミュニケーションできない生徒を気にしている
  援助交際はもとより、家出も出会い系で知り合った人に身を預けることがあった
  総合教育センターで体験研修をした
   ・ほとんどの先生が始めてだった(危ないといっているわりには初めて)
   ・感情を害するチャットをしよう、といって「あんたは授業が下手ね」と
    指導者が書いて感情的なやり取りを体験させた
・丸子実業高校
  94%の生徒がケータイをもっている

●下田先生の補足
 ・インターネットは自己責任の社会であるが、日本には「自己責任」はなじまない
 ・クリントンがインターネットを学校に導入しようとしたときにPTAが反対した。これは、日本では報道されていないのではないか?その内容は、
  「もし、ウチの子がインターネットを利用して加害者になったとき、大統領あなたが責任をとってくれますか?」というものだった。

・出会いサイト
 被害者は5年前の13倍1800人程度になった
 対象のほとんどは、18歳未満の女子生徒
・自殺サイトも問題になってきている
  子どもたちは新聞やニュースをあまり見ないので、どれくらい理解しているかを憂慮している

・ネット上の新しい遊び場を気にしている
 遊び場は小遣い稼ぎ場にもなることに注意してほしい
 ネットのプリクラ遊び(詐欺にまで発展している)

●NTTドコモ モバイル社会研究所
 マーケットシェアの54%を持っている。他の携帯キャリアと協力することも考えたが、すぐに必要だったので昨年に社内組織をつくった。
 ・メディア論:
  大人は「コードが付いていない電話」と考えている
  →子どもは「インターネット端末」と感じている
 ・社会論:
   災害時の通信インフラ
 ・法律論:
   著作権問題
 ・産業論:
 ・昨年途中から子どもの利用も対象にした
   パーソナル利用の問題
   いったんネットに流れると、データの取り消しができない
   子どもの人権も考える必要がある
    親が子どものメールをみるのを当たり前にするのはまずい
    とうきょうEDと提携して冊子「みんなのケータイ」を作成した
モバ研子ども会議室に登録するとテキスト「みんなのケータイ」のPDF版がダウンロードできます。

 ・今年フランスで開催された3G携帯のコンファレンスでのできごと
   中国は「よい意味のマーケティングツール」として取り扱っているが、
  ドコモは「負の意味もある」と発表したが、世界的にめずらしいことだった
 ・住居と電話
    電話の置き場所:玄関→居間→各人の部屋→ポケット
    どんな子どもなら、どんな場所でつかうのが安心か

●心の問題を気にしている(だれのコメントだったのか忘れたが、たしか中島さん)
 子どもの交流能力が低下しているのが気になる
 チャット依存症が気になる
  チャットの中では自分でできないことができる→ますますのめりこむ

●解決案(なにをすべきか)
 ・情報モラルの教育から抜け落ちる世代が今の高校生~20代前半
 ・子どもに届いているメールを見ていますか?
 ・保護者自身が問題ではないか
   ネット犯罪に巻き込まれている現実を指導すべき
 ・親自身が使いこなせるべき → 親が内容をチェックできてもよいのでは?
   未開封ならばれるけど、そこはうまくみるということ
  使用料金のチェックや、行動の変化の観察など、少年非行対策と大きく違いはないと思う

●子どもに専用の携帯電話をだしているが、各メーカとも人気がなく販売できない(ドコモ)

●無関心な親に対してどうやって啓蒙したらよいのか
 ・自覚的教育プログラムがある(下田)
  どういうことをしたら自分が損、という教材はあるし、それならば子どもは変えられる
  監視型ではなく、意識を引き上げる方法がよい
  いい使い方を大人が示すこと
  おじいちゃん、おばあちゃんにもできることがある。

====

●私が会場で質問したことがら ・「エスプレッソサービス」というサービスをドコモの子会社がしているが、

2008.5.4 URL追加
 http://www.docomo-sys.co.jp/products/espresso/

  なぜ教育委員会に宣伝して、教育委員会のフィルタリングと連携した「子供向けサービス」を企画しないのか?
 ・パネラーは「通話記録通知サービス」を勧めるが、これはiモードやEZモード、メールサービスには無力である。
  電話機能なら通話記録で相手の電話番号がわかるが、パケット記録はデータ通信量しか記載されない。
  「学生割引の適用者」の場合は、メールアドレスや、URL記録があってもよいのではないか。
  それを子供向けケータイとして販売すればよいのではないか
 ・チャット依存については、会話能力(語彙の理解力)に問題があるアスペルガー症候群では有効であり、一概にチャット依存症と決め付けての指導は危険である
 ・パネラーは「フィルタリングサービス」を勧めているが、何がフィルタリングされているかが公開されていないのが問題。
  さらに、
    -フィルタリングされていないものがつねに存在すること
    -フィルタリングされなくてもよいものまでフィルタリングされてしまう危険があること
  はサービス案内に大きくは書かれていない。
  そのためにもフィルタリングの内容は第3者機関で検証が必要と思われるが、
  そういう説明抜きでフィルタリングサービスを紹介するとのであれば
    「しないよりまし」
  という程度の表現にすべき。

すでに予定時間が超過していたにもかかわらず、会場からの質問を受け付けたため時間切れで、パネラーからの返答はなかった。

9月4日 一部修正

00:42 | コメント(2) | PTA
コメント
落伍弟子2011/01/06 23:35:18
Commented by osa at 2005-09-03 21:53

11月に出入りしてる中学校の保護者会主催の研修会(勉強会?)で、ソレっぽいことを企画しています。
研修会の落しどころは「子供との関係・会話」というところを保護者に再確認してもらおうというところです。

自分の子供が「インターネットやってる」ことを、自慢げに思っている人って、かなりいるという実感があります。「注意しないとマズイ」という意識が薄いみたいです。
私には、ちょっと衝撃的な事実でした。
落伍弟子2011/01/06 23:35:38
Commented by ji3faf at 2005-09-04 00:09

予習として「モバ研子ども会議室」がいいかもね。