あっというまに10月になっちゃいました。
ことしは、私は発表せずに聞きに回ることにしました。そのなかで気になったことをメモしておきます。
誤解のないように最初に書いておきますが、批判しているのではありません。気になったことをかいているだけです。
● 1a-202-01
東日本大震災前後にみた20代前後の若者のメディア選択
戸島 万莉奈 [筑波学院大学], ○山島 一浩 [筑波学院大学]
「SNSといえばmixiでしょう」というわけで、学生にアンケートをとって、どのような機能をりようしたかという発表。twitterとかいろいろあるわけで、なぜmixiだけをとりあげたのかが不明だったのですが、ようするに普段はまったく使っておられない方の調査発表でした。
やっぱり、普段から使っている人と、話題になっているからこれから調査しようといった場合での比較資料にはなるとおもいます。
● 1p-240-03
ICT教育支援員に対する初期研修プログラムの評価
○穗屋下 茂 [佐賀大学], 草場 聡宏 [佐賀大学], 角 和博 [佐賀大学], 中村 隆敏 [佐賀大学], 田中 勇作 [ベネッセコーポレーション]
雇用促進事業として、無職の若年者をICT支援員として採用するとき、支援員をどのように要請するのかというお話。
http://www.t-ict.jp/の「教員のICT活用指導力向上/研修テキスト」を活用されたということで、これは同感。でも、そのあとの話には賛成できませんでした。
教員養成学部として、学生にも「ICT支援員の能力をつけさせて、ICT支援員が不要であることをアピールして教員採用に備えさせる」というような説明がありました。これはどうかと思う。
つまり、
うちの卒業生は「ICT利用の何でも屋をひきうけることができるので、ICT支援員の予算をさくげんできますよ」といって採用してもらおうということなの?
と思っちゃいました。ICT支援員を採用することで、教員の本務である「授業に専念できる」ようにすることを妨害してどうするの?とおもったわけです。
理科の実習助手は不要にできる理科教員を養成しますとはわけが違います。他教科や校務など、自分の授業に関係のない仕事を引き受けたうえで、自分の授業や担任の校務をさせることになるわけで、やっぱりどこか目的がちがうと感じた発表でした。
●1p-205-01
1人1台の環境がもたらす児童のコンピュータスキルの向上
~フューチャースクール実証校での状況~
○中川 斉史 [足代小学校], 高橋 あゆみ [ベネッセコーポレーション] 「フューチャースクール」での現状報告というか、スライドショーで学校見学している感じでした。実証実験開始から1年が経過して、これまでは機器の慣らし運転、これからはソフトの慣らし運転、という感じでしょうか。
100校プロジェクトでもそうでしたが、机上の空論を排除できる貴重な先行体験をしておられるのは、ある意味うらやましいです。
機器への充電の問題など、「デジタル教科書」などデバイスの問題に目が行きがちですが、実際に導入されるための学校設備にも注意が必要だということがわかります。
● 2a-208-05
学校の情報通信環境整備事業の導入過程における問題と課題
総務省フューチャースクール推進事業を事例として
○林 向達 [徳島文理大学] 「フューチャースクール」に至るまでの教育行政のまとめ一覧がとても簡潔明瞭。
http://www.con3.com/rinlab/2011/09/20110918-1.htmlで読めます。
●会長講演「教育工学」 2日目全体会での永野会長のお話しで使用された発表スライドが公開されています。
http://www.jset.gr.jp/profile/aisatu.html2ページ目の最後のスライドに「実践は学術論文になりにくい」とあります。
これは日本のインターネットでも同じことでした。インターネットの運用技術に関する研究は、大学での研究成果として認められなかったのです。いまでこそ、情報処理学会にはIOT分科会がありますが、JAINコンソーシアムとか長い道のりでした。